健康新聞 定期連載〜第10回 鉄欠乏症貧血〜
2025年01月13日
西山 典子副院長が取材を受けました
1月12日(日)発行の健康新聞で西山 典子副院長が取材を受けました。女性のためのメディカルノート第10回は鉄欠乏症貧血です。女性がかかりやすい疾患や健康トラブルはライフステージによって変化します。 病気になってからではなく、早期発見・予防につなげるためにも、女性特有の病気について理解を深めましょう。
第10回 鉄欠乏症貧血 〜女性のためのMEDICAL NOTE〜
医療法人 西山記念会 MIRAI病院 西山典子副院長
定期的な血液検査と鉄分の吸収を高める栄養素も摂取
鉄欠乏症貧血は、赤血球の中のへモグロビンの主成分である鉄分が不足することで、血液中の曖素の運搬能力が低下する状態を指します。
初期には「疲れやすい」、「だるい」といった症状が現れ、進行すると、階段を上る時や少し早く歩くだけで息切れやめまい、立ちくらみするようになります。また、爪が薄くなって反り返ったり(スプーン爪)、髪の毛が抜けやすくなったり、皮膚が乾燥して荒れやすくなるといった症状も現れます。鉄分が不足する主な要因は、大きく分けて①摂取不足と②損失過多です。①は、ダイエットや偏食による食事制限、また胃の調子が悪く十分な食事が取れないことなどが原因です。②は、女性の場合、月経量が多い方は注意が必要です。妊娠中は胎児の成長に多くの鉄分が必要となるため、鉄乏性貧血になりやすい時期でもあります。
中高年になると特に注意を払わなければいけないのが、出血の有無です。胃潰瘍や大腸ポリープなどによる慢性的な出血があると、がんをはじめとする重篤な病気が隠れている場合もあるので油断はできません。
鉄欠乏性貧血は放置すると症状が徐々に悪化します。慢性的な酸素不足により、日常生活に支障をきたすようになるだけでなく、重症化すると、心臓に負担がかかり、動悸(どうき)や不整脈の原因にもつながります。
検査は、血液検査が基本。主に、貧血の程度を示すヘモグロビンと体内の鉄の貯蔵量を示すフェリチンの濃度を把握することが診療と治療の第一歩となります。
鉄欠乏性貧血の予防と改善には、偏食を避け、生活習慣の見直しが大切です。レバーや豚肉などの肉類、カキなどの魚介類、緑黄色野菜も良い鉄分源で、動物性たんぱく質やビタミンCを同時に摂取することが効果的です。その他、適度な運動やストレス管理などにも気を配りましょう。
鉄欠乏症貧血は、軽視すると気が付かないうちに進行します。「貧血かな?」と思ったら、医師の診断を受けることが肝要です。健康診断で定期的に血液検査を受け、早期発見と早期治療を心がけましょう。