コラム

ストレスは早めに気づいて対処しましょう

2024年10月31日

ストレスって何だろう?

ストレスとは、元々物理学で使用された用語で、外部からの力により物体に歪みが生じた状態を指します。これが医学・心理学の分野に応用され、心身に負荷がかかったときに生じる緊張状態を意味するようになりました。

私たちが日常的に使用しているストレス

ストレスという概念を医学分野に持ち込んだのがカナダの内分泌学者ハンス・セリエ(Hans Selye, 1907-1982)です。彼の研究により、生体におけるストレスには原因となる刺激に対して、その部分だけに直接出る特異的症状と、どんな種類のストレスでも共通して現れる全身の反応、非特異的症状があることが判明しました。
注目すべきは、不快な刺激の種類に関係なく共通して現れる非特異的症状(血圧上昇、胃の不調、イライラなど)で、これは副腎皮質ホルモンや自律神経系の働きによって引き起こされます。
私たちが日常的に使用するストレスは、正確には不快な刺激自体ではなく、それによって引き起こされる心身の反応を指します。

 

ストレスを感じるとでてしまうため息

多くの人は「ため息をつくと幸せが逃げる」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。また、ため息をすることで家族や友人から不快な反応をされて苦い経験を持っている方も多いはずです。そんなネガティブなイメージが強いため息ですが、健康な生活を続けるために重要な意味があります。
事実、ため息をつくことで副交感神経の活動を促進し心拍数や血圧を安定させ血流を改善させることが分かっています。また、緊張した筋肉をリラックスさせ呼吸を整えたり、気分転換や集中力の回復にも役立つなど様々な効果があります。

ため息は健康のための重要なメカニズム

私たちはストレスを感じると無意識に呼吸は浅く、速くなります。これは緊張状態で交感神経が優位になるためです。この状態が長く続くと、体は自然な形で深い呼吸(ため息)を促し、バランスを取ろうとするのです。つまり、ため息は体が自律神経のバランスを整えようとする、健康のための重要なメカニズムの一つと言えるでしょう。

ため息の前後での身体の変化

項目 ため息をつく前 ため息をついた後
自律神経の状態 交感神経優位 副交感神経が活性化
呼吸と血流 浅い呼吸で血流が滞る 深い呼吸で血流が改善
体の緊張状態 筋肉が緊張している 全身がリラックス
心の状態 イライラ・集中力低下 落ち着き・気分転換

 

ストレス発散方法・対処法

ため息が悪いことではないとは言っても多すぎる場合は要注意。頻繁にでるため息は、強いストレス状態のサインかもしれません。そんな時は、十分な睡眠、規則正しい食事、適度な運動など、生活習慣の見直しを検討しましょう。また、意識的に趣味の時間を作るなど工夫してストレス解消に取り組むことが大切です。ため息は「幸せが逃げる」のではなく、むしろ心身の健康を維持するための大切なメッセージなのです。ため息が出たときは、「体が休息を求めているサイン」として受け止め、自分をいたわる機会として活用してみてはいかがでしょうか。

  • 睡眠・休息の時間をとる
  • 湯舟につかり入浴する
  • 大きな声をだす
  • 好きなものを食べる
  • 趣味の時間をとる
  • 日光にあたる
  • 無理のない範囲で運動する
  • 自分自身に理解ある人と話す

 

 

ストレスからくる主な病気

ストレスが原因で直接的に影響を受けやすい臓器は消化管です。ストレッサーに耐え切れなくなった心と体は悲鳴をあげて、胃・十二指腸の出血や潰瘍、高血圧症、心筋梗塞などの病気を引き起こし、最後には、抑うつ症状や無気力、自殺願望なども出現するようになります。 そのほか、自律神経の乱れや免疫力の低下から感染症や頭痛・めまい、蕁麻疹や円形脱毛症、突発性難聴、慢性疾患の増悪など多岐に及びます。

 

 

ストレスは早めの対処が大切です

ストレスのサインに気づいたら、一人でガマンせず、友達や家族に話しできるだけ早めに対処しましょう。ストレスのケアを意識して心身ともに軽くなるようでしたら、自分でコントロールできる範囲であり心配ないといえるでしょう。また、会社における職場の責任者は、ストレスのない職場作りと心のサポートができるスキルを持つことも必要でしょう。何より、まずは自分自身の心と健康を守っていくことが大切です。

◎厚生労働省では働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトを開設しています。
出典:厚生労働省ホームページ こころの耳(https://kokoro.mhlw.go.jp/

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