コラム

骨の健康を保つために、ビタミンDが大切な理由をご存じですか

2022年08月25日

ビタミンDは、骨の原料となるカルシウムを小腸から吸収するために必要で、骨の健康を保つのに欠かせない栄養素です。そのためビタミンDが不足すると骨がもろくなり骨折しやすくなってしまいます(骨粗しょう症)。
また、ビタミンDは認知機能の維持にも関係していることがわかっており、脳の健康維持にも一役買っています。実際に当院で骨粗しょう症患者さんで血中25(OH)ビタミンD濃度を調べてみると、認知症を合併している患者さんで有意にビタミンD濃度が低下していました。(認知症を合併した骨粗鬆症患者に対する横断的研究.中部整災誌2021;64;521-522)

その他にもビタミンDの働きは多彩で、筋力維持、免疫力を高めてウィルスなどに対する抵抗力をあげる、炎症性サイトカインを低下させる、発がんリスクを低下させるなどの働きがあります。

しかし、実は日本人の特に高齢者の多くの方がビタミンD不足であることが分かっています。ビタミンD不足を解消するには、①ビタミンDが豊富に含まれる食品の摂取と②適度な日光浴が必要です。

ビタミンDを食事から摂るには?

ビタミンDは魚介類、キノコ類、鶏卵などに多く含まれます。成人の1日の摂取目安は5.5㎍(日本の食事摂取基準2015年)とされていますが、サケなら切り身半切れ、ブリなら1切れ、サンマなら1尾で十分摂取可能です。キノコ類は100g当たり0.5㎍~85㎍のビタミンDが含まれており、特に豊富なものはきくらげです。

紫外線にはどのくらい当たればよい?

ビタミンDは紫外線が当たることで、皮膚で合成することができます。夏であれば日焼け止めなしで5~10分、冬なら30分~1時間程度の日光浴が推奨されています。ただし過度に日光に当たると、しみやしわ、発がんリスクが高まるので注意しましょう。

紫外線に当たる女性

ビタミンDが足りているかはどうやってわかる?

骨粗しょう症の方であれば、保険適応で血中25(OH)ビタミンD濃度を測ることによって、ビタミンDの充足度を調べることができます。当院では、骨粗しょう症治療前の患者様では可能な限り血液検査で計測し、実際にビタミンDが不足されている方に対しては、治療薬としてビタミンDの処方も検討しています。

ビタミンDと新型コロナウィルス感染症との関係

ビタミンDが新型コロナウィルスの発症や重症化の予防に関係するかどうかについて、さまざまな論文が出されていますが、「関係あり」「関係なし」の2つの結果が混在し一定の見解は得られていないようです。しかしコロナ禍でステイホームが続いて日光に浴びる時間が極端に減ると、ビタミンD不足が深刻化してしまう可能性があります。室内にいる時間が長くなっている方は、魚やキノコを意識して食事に取り入れたり、カーテンを開けて少しでも日光を浴びたりして、骨や脳の健康を保ち、免疫力を高める働きのあるビタミンDが不足しないように注意しましょう。

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