コラム

受ける前に知っておきたい 腹部超音波検査

2023年09月14日

腹部超音波検査とは

腹部超音波検査は、高い周波数の超音波を腹部にあてることで、腹部臓器(肝臓、胆嚢、すい臓、腎臓、脾臓、大血管など)の様子を観察できます。短時間で非常に多くの情報をリアルタイムで得ることができるのも特徴です。

また、放射線による被ばくの心配がなく、身体への負担が少ない安全な検査のため、妊娠中の方や高齢者も安心して受けることができます。

腹部超音波検査でわかること

腹部臓器の異常病変(結石、ポリープ、筋腫、腫瘍など)が分かります。経年観察することで大きさや数などの変化が確認できます。

近年、人間ドックでの異常病変として最も頻度の高い項目となっているのが脂肪肝です。脂肪肝は、中性脂肪が肝臓に蓄積する病気です。

 

日本人の成人、3人に1人は脂肪肝

脂肪肝の患者数は急増し、日本人の成人では3人に1人、男性では約40%が脂肪肝といわれています。脂肪肝は肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性があり、さまざまな生活習慣病のリスクも高めることがわかってきました。安全で簡単にできる腹部超音波検査は脂肪肝の拾い上げの中心的存在となっています。

 

腹部超音波検査の比較例

 

脂肪の沈着が多くなるほど超音波が脂肪で反射されてしまいます。そのため脂肪肝の場合、正常の肝臓に比べ白く描出されます。(通常、肝臓は腎臓とほぼ同じ濃さです。)

脂肪肝と診断されても「病気じゃないから」と放置してしまうと肝炎や肝硬変、肝がんといった命に関わる病気になるリスクが高まります。また、10〜20%ほどが肝炎や肝硬変に進行すると言われています。

 

検査方法

検査前の注意事項

腹部超音波検査は食事による影響が大きいため以下のお願いをしています。

1.検査前は食事を控えてください。

午前中の検査では朝食を、午後の検査では昼食を抜いてください。

2.牛乳などの脂肪分を含む飲み物も控えてください。

食事をした場合には、検査担当者に教えてください。(検査ができない場合もあります。)

 

検査方法

・検査用のゼリーを腹部全体に塗りながらプローブ(探触子)を当てて観察します。

・検査中は、臓器をより観察しやすくするため「息を吸って、止めて。」と技師から声がかります。指示があったら無理のない範囲で呼吸の調整にご協力お願いします。

※身体に痛みがあったり、体調不良などで検査に不安がある方は、お気軽に申し出てください。

検査にかかる時間

1人あたり10〜20分程度です。(検査内容や条件によって時間は変動します。)

 

肝臓・腎臓・すい臓などの異常は、早期に自覚症状がありません

肝臓・腎臓・すい臓などは、自覚症状が出たときには病気が進行しているケースが多く、「沈黙の臓器」と呼ばれる臓器です。簡単、安全に受けることができる腹部超音波検査は、肝臓、胆嚢、すい臓、腎臓、脾臓、大血管などの異常病変の早期発見に繋がります。

「検査を受けるように勧めてもらえていれば、もっと早期に発見できていたかも」と悔やむ患者さんを無くしたい。当院では腹部超音波検査をお勧めしています!

 

 

←HOMEに戻る