G-TES(ジーテス)

G-TES(ジーテス)
当院では、重度の麻痺、高齢による身体の衰え、長期間の入院などで、これまでリハビリが思うように進まなかった患者さんにも対応可能な新しいベルト電極式骨格筋電気刺激法(B-SES)を用いた『G-TES』(General Therapeutic Electrical Stimulator)を導入しました。
B-SES技術について
B-SESは、内側すべてを電極にしたベルト電極を腰・下肢に巻き付け、電気を同時に流すことで下肢全体の筋肉を一気に動かすことができる技術です。
従来の電気刺激療法との違い
従来のパッド式電極と比較して、B-SESのベルト電極には次のような特長があります。
- 広範囲の筋肉を同時に刺激 — 下肢全体の筋肉を同時に刺激することで、より効率的なリハビリテーションが可能となりました。特に、運動が制限される方、筋力低下に悩む患者様に最適な治療法と言えます。
- 痛みを感じにくい設計 — 接触面積が大きく、電流密度が分散するため、従来の電気刺激と比べて痛みや不快感が軽減されました。長時間の治療も快適に受けられます。
回復を支える2つのアプローチ
B-SESには、患者さんの状態に合わせて選択できる2つの治療アプローチがあります。
- 筋力トレーニングモード(20Hz) — 高頻度の電気刺激により、筋繊維を効果的に収縮させ、筋力と筋持久力を集中的に向上させます。特に、運動機能の回復、筋萎縮の予防、スポーツリハビリテーションなどに最適です。神経筋の再教育や、長期臥床による筋力低下の改善に効果を発揮します。
- 代謝モード(有酸素運動・4Hz) — 低頻度の持続的な電気刺激により、血流を改善し、代謝を活性化させます。運動が困難な患者様の代謝を促進し、エネルギー消費を高めます。関節への負担が少なく、心肺機能の維持・改善、血行促進、廃用症候群の予防に効果的です。特に、高齢者、リハビリ中の患者、運動制限のある方に適しています。

診療領域別の活用例
脳神経外科、整形外科、回復期、急性期など、従来の治療法では難しかった症例に対しても、安全で効果的なアプローチを可能にし、それぞれの診療領域の特性に合わせて適切なリハビリテーションを実施できます。
脳神経外科のリハビリ
- 脳卒中後のリハビリ — 麻痺した筋肉への電気刺激により、神経可塑性を促進し、運動機能の回復を支援します。早期からのアプローチで、機能回復の可能性を広げます。
- パーキンソン病などの神経疾患 — 筋力低下や運動障害の進行を抑制し、日常生活動作の維持に有用です。震えの軽減や、筋肉の柔軟性を保つことに効果があります。
- 認知機能に障害がある方 — 簡単な装着と使用が可能で、患者様の身体的・精神的負担を最小限に抑えながらリハビリテーションを実施できます。

整形外科のリハビリ
- 膝や腰の痛み — 周辺筋群を強化することで、関節への負担を軽減し、痛みの緩和と機能改善を図ります。慢性的な痛みに対する非侵襲的なアプローチとして有効です。
- 手術後のリハビリ — 筋肉の萎縮を防ぎ、段階的な機能回復を行います。手術部位への直接的な負担を最小限に抑えながら、効果的なリハビリテーションが可能です。
- 長期的なケア — 加齢や慢性疾患による機能低下を遅らせ、患者さんのQOL(生活の質)向上を促します。継続的で安全な運動療法です。

集中治療や長期臥床により筋力低下が懸念される患者さんに対し、電気刺激を用いて筋肉の萎縮を最小限に抑えます。人工呼吸器管理中や意識障害のある患者さんでも、安全に筋肉の機能維持が可能です。
患者さんの状態や身体的負担を考慮し、ベッド上で簡単に装着できる設計。体位変換や疼痛管理と並行して、効果的なリハビリテーションを実現します。専門スタッフによる的確な評価のもと、個々の患者さんに最適な刺激強度を設定します。
早期からの積極的な筋肉刺激により、廃用症候群のリスクを低減します。呼吸器系、循環器系、筋骨格系の合併症予防に貢献し、患者さんの全身状態の改善と早期回復を支援します。
脳卒中、脊髄損傷、神経変性疾患など、従来のリハビリテーションで課題となる症例に対し、効果的な筋力トレーニングと関節可動域の改善を支援します。運動機能の再獲得が困難な患者さんの回復可能性を広げ、より積極的なリハビリテーションが行えます。
患者さん一人ひとりの身体機能、痛みの程度、疲労状態を詳細に評価し、安全かつ効果的な電気刺激の強度と範囲を慎重に設定します。段階的な負荷調整により、患者さんの回復プロセスに寄り添った最適なリハビリテーションを実施します。
G-TESによるリハビリテーションをご希望の方は、主治医またはリハビリテーション部にご相談ください。
患者さんの状態と各診療科との連携を考慮した上で、最適なプログラムをご提案いたします。